デート商法でスーツを買わされないための『会社法入門』
会社法入門
神田 秀樹
おすすめ度 ★★★★★
★★★★★ 2006-07-17 法曹プロフェッショナルでない人達にも
法曹プロフェッショナルでない人達にも会社法の重要性が増してきたという背景を捉えると本書の出版は将に時期的に的を得たものと言えるであろう。かつてサラリーマンにとっては役員になることが出世の一段階であったが、今日では役員になるということは株式代表訴訟の対象になるという大変なリスクと向き合うことにもなる。
また会社の組織デザインの多様化は自身の勤める会社の法的な位置づけへの理解を求められる(ちなみに私は米国のデラウエア会社、LLCでの雇用となっている)。個人投資の進展は市場の発展を呼び起こし、またITは企業ならずとも個人の生活からも分かちがたいものとなっている。
このような時代背景と今後の進展とを位置づけた上で著者は会社法について語っている。その理解があれば法的な問題に直面した時でも適切な判断をもつことができるはずである。
★★★★★ 2006-07-02 数値的分析がおもしろい
著者は商法、証券法、金融法を専門とする法学者であり、新書といえども確固たる知識に裏付けられてしっかりと書かれています。
第1章で商法改正など会社法成立に至るまでの歴史的経緯を概観し、第2章で株式会社の機関を詳細に説明、第3章で株式会社の資金調達の方法を述べ、第4章で合併・買収などの組織再編を論じます。
資金調達の章では、新株を追加的に発行する際、既存の株主が損をしないためにはいくらで何株発行するべきか、という点が詳細に論じられており、株による資金調達の難しさと面白さを味わうことができます。例えば企業を買収対価として一般的には新株が割り当てられますが、合併によるシナジー効果により一株当りの企業価値の増加が期待されると、必ずしも時価で株を交付するのが妥当ではなくなります。
全体を俯瞰しつつ所々で数値的な分析が成されている点が本書の魅力といえるでしょう。
★★★★★ 2006-06-29 新書ながら高度な内容
新会社法制定を機に執筆された会社法の入門書。一般的な教科書では簡単にしか記述されていない点についても詳しく説明されていますので、併読すると立体的な理解が得られるよう工夫されていますし、新書ながらかなり高度な水準の内容まで盛り込まれています。(特にエクイティ・ファイナンスの部分)
思うに、本書の読者層は学生などの初心者というよりも会社実務を知っている人間が会社法の知識をインプットするニーズを想定している気がしますし、そういう人間にとって会社法の法制度の制度趣旨や立法論を理解するのに有益な視点をもたらしてくれるでしょう。
大学の教科書を水で薄めただけの入門書、図表の多用でいかにも分かりやすく装飾しているだけのビジネス書が氾濫する中、会社法だけでなく他の法律の分野でもこういう本格的な入門書がたくさん出てくると嬉しい限りです。
★★★★☆ 2006-06-25 骨太の入門書と言える
会社法の施行を契機に、雨後のたけのこのごとく入門書が発行された。これらの入門書とは一線を画する、商法学者により体系的に書かれた入門書である。
979条もある大法典を、トピカルな話題を挟みつつ、制度の背景、問題点、方向性などを解説した。神田の工夫は賞賛に値するが、基本的には法律書であるので、易しく書かれていてもそれは簡単に理解できることを意味しない。
本書は、具体の問題を解決するハウツー本ではなく、骨太に会社法の概要を論じたものである。個々の論点には触れていないので、資格試験対策には神田の「会社法」(弘文堂)のような標準的なテキストを使用する必要がある。
ただ、本書により会社法の体系をつかめるので、ハウツー本に進むにしても会社法の理解は進むのではないだろうか。
私自身は、会社法にはあまり縁がないが、最もグローバルで最先端の組織法である会社法が、他の組織法制へ及ぼすであろう影響をうかがうことができた。
★★★★☆ 2006-06-23 ウラ話あれこれ
この本は,会社法が生起するビジネスの現場に直接に使える代物ではない。むしろ、今回の「新会社法」制定に至るウラ話のほうが良く書けている。なんで、平成に入ってから「商法」が毎年のように改正されねばならなかったのか。なぜ、ある1条だけが欠落しているのか?(何条かは,この本と会社法そのものを読んでのお楽しみ) そのようなことがこと細かく書かれている。 ある程度,旧商法に親しんでこられた方(そんな奴はいないか)、また、会社法制定の歴史的背景等を知りたいという人(こんな奴もいないか)にとっては、なかなか好著である。なによりも、昨年来から世間を騒がせている「会社は誰のもの?」という点について,神田先生は、はっきりとは書かれていないが,「会社は株主のもの」という会社法学者としては当然の見地から記述されているのが,論点がはっきりしていて好ましい。
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